今回のブログは、Microsoft Top Partner Engineer’s Advent Calendar 2023 と連動した内容です。
実は、日本マイクロソフト様より「Microsoft Top Partner Engineer Award」 Modern Work を表彰していただいています。
パートナーとして組織向けの情報を提供する機会はあまりないので、今回は Microsoft Copilot for Microsoft 365 に関する意識しておきたい設定を説明しておきたいと思います。
Copilot for Microsoft 365 に関係する設定
Microsoft が Copilot を発表した際に、これがあれば組織内にある情報を今まで以上に的確に整理できるのではないか。と考えらえた方は多くいらっしゃったのではないかと思います。
ライセンスさえ組織で用意すれば、機密情報は MS が漏らさないといっているし、何も設定しなくても安全に利用できてラッキー!という思いで接している方は私を含めて少なくないのではないでしょうか。
しかしながら Microsoft 製品は、もっと広くユーザーが活用できるように様々な仕掛けを用意してくれているのです。
その一つが、パブリック Web コンテンツの活用是非を設定する以下の項目です。
この項目にチェックを入れておくことで ReAct フレームワークの中に Microsoft 365 関連のデータのほか、 Bing の応答を混ぜることができるようになるのです。
この動作自体は、広く情報を活用してより使えるコンテンツを生成してくれるという点においてはかなり有用なのですが、視点を変えると、この設定における動作を少し意識しておくことが必要な項目になっていると考えています。
パブリック Web コンテンツ参照における注意点
すでに Microsoft Copilot を Edge や Windows で使っている方はお分かりだと思いますが、 Copilot は通常の LLM ならリリースした時点で止まってしまう最新情報を Bing の検索機能を活用して Copilot の回答に反映させ回答を充実化させています。
この動作は Copilot が Bing にアクセスし、その検索結果をさらに Copilot が要約し直すことで実現しているのですが、これは Copilot が Bing 検索を再帰的実施することで回答を得ていることを意味しています。
前段の設定にも書かれている通り「データ保護補遺」は Bing に適用されないことが明文化されていて、この動作を行う際に各種データが宛先 Web サイトに連携される可能性があるのですよね。
詳しくは以下のプライバシー ステートメントを理解しておくことが組織の管理者に求められているというわけです。
https://privacy.microsoft.com/ja-jp/privacystatement?WT.mc_id=M365-MVP-5002496
宛先 Web サイトに渡されるデータの項で述べられている標準的なデータという部分がそれにあたりますね。
実際にどんな形でやり取りされるのか
実際にどのようなデータが渡ってきているのかチェックするため、簡単な Web サイトを作ってログを追ってみました。
Azure Web Apps と Log Analytics で準備は簡単に整います。
サイトは Bing Webmaster Tools を使って Bing にインデックスを登録すると Bing 検索にヒットするようになります。
準備を終えたところで、こんな感じに Teams の M365 Chat より呼び出してみましょう。
関連しそうなキーワードを用いてサマリーを依頼してみました。
が、「外部のウェブサイトの情報」はサマリーできないとのこと。
それもそのはずです。先ほどの Web コンテンツ参照の設定は管理者が設定したうえでユーザーも設定する必要があるのです。
Web content のトグルスイッチをオンにする。この設定を行っておくことで、次のように Bing の検索結果の内容を加味した応答を行ってくれます。
ちなみに copilot.microsoft.com ではプラグインを利用できないので、外部サイトへのアクセスができない時と同様の動きになっていました。
なお、 copilot.microsoft.com は上部にあるトグルスイッチを切り替えて web にすることで応答が変わります。
Web 版ではこんな感じになっていました。
このように利用するモデルが異なると応答が異なるということを見るのは面白いですね。
Copilot が Web アクセスした場合のログ
Web アクセスで情報を取得した場合、先ほどの Log Analytics を利用してアクセス記録を見ることができます。
このアクセスログが Copilot で活用されるアクセス情報ということですね。 Referer なども設定されていないため、データ視点で見ておくべきは Bing 検索の頻度などが増える程度とみてよいでしょう。
ちなみに以下のユーザーエージェント、 Preview/0.5 までの部分は Teams の URL プレビューで利用されるもののようです。 後ろの skype-url-preview を合わせると Copilot アクセスとして見分けられるのかもしれませんね。(公式的な記述ではないため、今後変化する可能性があるので注意してください。)
Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) SkypeUriPreview Preview/0.5 skype-url-preview@microsoft.com
おわりに
Microsoft Copilot for Microsoft 365 はようやく一部の組織への提供が始まったばかりで、本格的な流通はこれからです。しかしながら考えておくべきことは多々あり、今のうちから調査を進めておくことで利用可能となった時にすぐに組織内ポリシーとの適合を行えるようになります。
また、今回のパブリック Web コンテンツと同じような観点は今後も増えると思われるので、現在利用中の組織でも定期的に増えた機能はチェックしていくことをお薦めします。
音楽:Tank!